お客様の声Customer Voice

生き物たちの命を守る
信頼性の高いバルブ

鴨川シーワールド 施設支配人 木下精一郎 氏

観客に豪快に水しぶきをかける「シャチのショー」で有名な鴨川シーワールドは、1970年開園という、日本では“老舗”の水族館です。国内水族館の9割以上に樹脂製バルブの導入実績がある旭有機材にとっても、鴨川シーワールドは50年以上取引させていただいている、気心の知れたお客様。施設管理の責任者である木下精一郎さんに、「ASAHI AVバルブ」の信頼性について語っていただきました。

飼育施設のシステムは止められない

鴨川シーワールドには、約2万3000㎡の敷地に、シャチのショーが楽しめるオーシャンスタジアムや、バンドウイルカとカマイルカがパフォーマンスを見せるサーフスタジアムなど、16ヵ所の展示エリアがあります。飼育している魚類・海獣類・海鳥類は800種・1万1000点以上。種類の多様さでは、日本の水族館で3本の指に入ります。
私が鴨川シーワールドに入社したのは1981年です。以来ずっと施設管理に携わってきました。施設は大きく分けて、お客様が利用する観客席・観覧通路・レストラン・トイレ・ホテルなどの「一般施設」と、生き物たちが暮らす「飼育施設」の2つがあります。飼育施設の不具合は、飼育している生き物たちの生死に直結するのでとても神経を使います。
特に難しいのが水質管理ですね。水族館では、魚類や海獣類が住むプールや水槽の水は、基本的に循環・ろ過して使っています。その際、熱交換器や殺菌装置を併用しながら、水質・水温・塩分濃度・水素イオン濃度(pH)などを適正に保っているわけです。もし水質汚染が発生したり、水温やpHが適正値から外れてしまうと、極端な話、生き物たちは死んでしまう。水族館自体は月平均2日ほどの休館日がありますが、飼育施設は24時間365日、休みなく稼働し続けている。「水の循環を一旦止めてメンテナンスを……」なんて、悠長なことは言っていられません。だからこそ、水槽やプール周りのバルブや配管には、絶対的に信頼のおける製品しか使えない。私たちが旭有機材の製品をずっと使い続けているのも、シャチ、イルカ、ベルーガ(シロイルカ)など、貴重な800種の生き物たちを守るためなのです。

50年前のバルブがいまだに現役

鴨川シーワールドがオープンしたのは1970年10月。今年で開園50周年を迎えますが、実は館内には、オープン当初から今も変わらず使い続けている旭有機材のバルブが残っています。外房の潮風、波しぶき、強い紫外線にさらされ、連結部の金属製ボルトとナットはさびついていますが、バルブの本体そのものは故障することなく機能し続けているのです。 循環・ろ過のシステムは、万一に備えていくつか並列で動かしています。バルブの破損などで1つのシステムが稼働できなくても、ほかのシステムでカバーできるわけです。しかし、どうしても循環・ろ過のパフォーマンスは低下します。壊れないということは、システムを止められない水族館には非常にありがたいことなのです。
鴨川シーワールドで使っているバルブは、主にダイヤフラムバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブの3種類。最も数多く使っているのはボールバルブですが、微妙な流量調節が求められるところではダイヤフラムバルブ、短時間に大量の水を流したいところにはバタフライバルブと、適材適所で使い分けています。
私の入社前ですから詳しいことはわかりませんが、この水族館がオープンできたのも、そのうちの何割かは旭有機材のお蔭だと聞いています。なぜなら、旭有機材が1950〜60年代、世界に先駆けてさまざまな樹脂製バルブを開発したからです。
それまで、水道管のバルブといえば真鍮などの金属製しか存在せず、海水を流すとすぐに腐食してしまうという欠点がありました。そのため、主に海水を扱う水族館では、バルブを頻繁に交換することが前提だった。配管のメンテナンスには膨大なコスト・時間・労力を見込んでおく必要があったと思います。それが、海水や薬品に強い樹脂製バルブの登場により、問題は一気に解消の方向に向かいました。現在、日本が世界有数の水族館保有国になっているのも、樹脂製バルブの存在が少なからず貢献しているのではないでしょうか。

開園当初から現在(2020年)まで、50年間稼働している旭有機材のダイヤフラムバルブ

開くべきときに開き、閉じるべきときに閉じること

私たち水族館の施設関係者がバルブに求める機能は単純明快です。閉まるべきときにしっかりと閉まり、開けるべきときにしっかりと開くこと。言葉でいうのは簡単ですが、これを長期間にわたって確実に成し遂げる製品はなかなかありません。
鴨川シーワールドで最大のシャチのプールの水量は約4800㎥。このプールには、8基の圧力式急速ろ過装置と循環ポンプ、オゾン発生器、殺菌装置、熱交換器など複数の設備が接続されています。急速ろ過装置とポンプには1基あたり毎分4㎥の処理能力があるので、8基で毎分32㎥もの水を入れ替えることができます。
それだけ大量の水(海水)を入れ替えるからこそ、重要なのは、私たちが意図したとおり、各配管のバルブがしっかり開いて、しっかり閉まること。開けたはずのバルブが完全に開いていなかったり、逆に閉めたはずのバルブが閉まり切っていなかったりすると、それが直ちに水質悪化につながります。さらに最悪なのは、どのバルブに不具合が発生しているのか、すぐにはわからないことです。シャチのプールだけでも接続個所は数十ヵ所あるため、ひとたび水質汚染が発生すると、その原因を突き止めるのに膨大な時間がかかってしまいます。かといって、水の流れを止めるわけにはいきません。問題解決に時間がかかりすぎると、水中の生き物たちに深刻なダメージを与える可能性があります。
水質悪化は生き物たちを危険にさらすだけでなく、来園されたお客様にもご迷惑をおかけすることになります。なぜなら、お客様に魚たちを見てもらうためには、水質をいつも清浄に保ち、水槽の透明度を高めておかなければなりませんから。
私の後ろにある「無限の海」の水槽をご覧ください。水深7.5m、総水量650㎥の水中で色鮮やかな魚たちがきれいに見えているのも、旭有機材のバルブがしっかり仕事をしてくれている証です。

シャチのプール裏で24時間稼働し続ける循環・ろ過システム。数十ヵ所にバルブが取り付けられ、水の流れを細かく管理している
お客様情報

鴨川シーワールド 様住所:千葉県鴨川市東町1464-18/木下精一郎 施設支配人

1970年10月に開業した、歴史ある水族館。シャチ、イルカ、ベルーガ、アシカのショーなど、飼育動物によるパフォーマンスが充実していることで知られる。1970年に日本で初めてシャチの飼育に成功、1976年にはベルーガ(シロイルカ)を日本で初めて一般公開するなど、海洋生物の飼育・研究でも水族館業界をリードしている。2010年には鳥羽水族館(三重県)、海遊館(大阪府)に次いで日本で3番目に、累計入園者数が3500万人を突破した。