導入事例Case Study

暮らしの必需品となったスマートデバイスにも

いまや生活に欠かせないツールとなったスマートデバイス。インターネットをしたり、データベースを管理したり…。日々進化するITツールにも、旭有機材の樹脂が活用されています。

電子材料として樹脂を再発見

もはや生活必需品ともいえるスマートフォンをはじめ、パソコンや液晶テレビなどの頭脳として、中心的な役割を果たす半導体の製造現場でもフェノール樹脂が活躍しています。旭有機材は他社にさきがけて、イオン交換樹脂※1を用い、『フェノール誘導体』※2を選択的に合成できる「選択合成技術」を確立。産業界のみならず学界からも高い評価を獲得しました。旭有機材のコア技術のひとつとなった、この技術を駆使し、半導体回路の形成に欠かせない「フォトレジスト」(感光性樹脂)の原料となる『フェノール誘導体』(バラスト材)を製造しています。さらにフォトレジストには必須の『高純度フェノール樹脂』の開発にも成功。これらは、主に半導体集積回路、プリント配線基板、フラットパネルディスプレイなどの製造工程で使われており、まさにIT社会を支える重要な材料となっています。旭有機材では、お客様のニーズに合わせて多彩な『フェノール誘導体』および『高純度フェノール樹脂』をご提供しています。

※1樹脂にイオンを捕まえる手がついたもの。
※2フェノール類から作られる分子構造の制御された化合物。

製造工程で消えるフォトレジスト

半導体の電子回路は写真の原理を応用した「フォトリソグラフィー」という手法で、微細な回路パターンを焼き付けて形成します。半導体の製造には、1)シリコンウェハ製造2)フォトマスク製造3)ウェハ処理4)組み立てと4つの工程があります。フォトレジストは、わずか数ミリ角程度のシリコンチップに複雑な回路パターンを焼き付ける3)「シリコンウェハ処理」で使用される感光剤。このフォトレジストの原料に『高純度フェノール樹脂』及び『フェノール誘導体』が使われています。ご覧のようにフォトレジストは製造の工程でなくなってしまい、電子回路そのものには残りませんが、電子材料の製造にはなくてはならない材料です。

シリコンウェハの処理工程

これらの工程を組み合わせることで、すべての半導体が造られます。

酸化膜の形成: よく研磨された薄さ0.5mm程度のシリコンウェハの表面を加熱し、二酸化ケイ素の絶縁膜を形成。
フォトレジスト塗布: シリコンウェハをスピンコーターで回転させながら、遠心力によって表面にフォトレジストを塗布。電子回路のパターンが描かれたガラス基板(フォトマスク)を通して、シリコンウェハに光を当てると回路の部分だけフォトレジストが感光。
シリコンウェハの現像: シリコンウェハを現像し、感光部のフォトレジストを洗い流すと二酸化ケイ素の層が露出。
エッチング: さらにエッチングでその露出した部分を削り取り、残ったフォトレジストを除去するとシリコンウェハへの写し込みが完了。
不純物導入: 拡散剤を塗布し、高温で熱して半導体領域を形成。
成膜: 再び、二酸化ケイ素の絶縁膜を形成。

エレクトロニクス産業の発展とともに

フォトレジストも時代とともに進化。使う光の波長がどんどん短くなってきています。これによって微細化は格段に進歩し、高度な電子機器を造ることが可能になりました。少し前まで、ハードディスクはかなり大きなものでしたが、いまでは小型化されて数センチのサイズに。このハードディスクの小型化も樹脂の進化と無縁ではありません。また最近では液晶の画面もどんどん高精細化し、大型化しています。液晶の大型化に対応するために、フォトレジストもさらに高性能に。大きな面積を焼き付けるには強い光がたくさん必要となるため、フォトレジストの感度をあげることが要求されるからです。お互いの技術の向上によって進化してきた電子機器と樹脂。フェノール樹脂こそ、エレクトロニクス産業の発展を陰で支えてきた功労者です。

徹底した品質管理と独自の技術開発

一般的な樹脂では、鉄などの金属が10ppm程度混在していますが電子材料に使う樹脂『高純度フェノール樹脂』には0.1ppm以下のものが求められます。旭有機材では製造から製品の梱包まで、徹底した品質管理によって低メタル化を実現しました。製造時には金属の混入を防ぐため、グラスライニング釜を使用。厳格な従業員教育のもと、金属部分をppb(10億分の1)レベルで管理しています。さらに独自の技術開発により、アルカリ溶解速度、分子量、分散度をもコントロールしています。斬新なアイデアとともにお客様のご要望に応じた『高純度フェノール樹脂』、『フェノール誘導体』をご提供しています。