鋳造用中子※メーカーとして、全国トップクラスのシェアを誇る株式会社大勢シェル。常に高品質を追求し続け、自動車部品をはじめとする鋳造会社からは「難易度の高い中子は大勢シェル」と厚い信頼を得ています。旭有機材は、鋳造用砂製品「レジンコーテッドサンド」(以下RCS)を40年以上にわたって大勢シェルに供給しており、同社の中子作りへの飽くなき探究心を支えています。高品質の中子を作るためには「優れたRCSが欠かせない要素の1つ」という代表取締役社長の小澤俊孝さんに、旭有機材のRCSについてお聞きしました。
※内部に空洞がある鋳物を作るときに、その空洞に該当する部分として鋳型の中にはめ込む型のこと
問題を解決するために適切なRCSを提案してくれる
弊社は、本格的に中子製造に取り組むため、1977年に島根工場を設立しました。当時はRCSに関する知識はほとんどありませんでしたが、試行錯誤しながらより高品質の中子を目指すことで、少しずつ取引先の鋳造会社を増やしていきました。同時に鋳造会社の要望も多様化し、難易度が高い中子の依頼もいただくようになったのです。鋳造では、寸法や鋳肌といった鋳物の精度から、ガス発生による欠陥までさまざまな問題が起こります。鋳物に問題が発生した場合、最初に確認の対象とされがちなのが中子です。必ずしも中子に原因があるとは限らないのですが、弊社としてはできる限りお客様のご要望に沿った中子を作っていこうと考えていました。
島根工場の設立当初は、地元の会社からRCSを仕入れていました。しかし、RCSに問題があったときでも、その会社で扱っている製品以外を使うことができずに、壁に当たることもありました。そんなときに出会ったのが旭有機材です。問題が発生して旭有機材に相談すると、そのために改良したRCSを提案され、解決につながりました。鋳造会社の難しいご要望が増えるにつれて、旭有機材に相談する機会も増え、取引量も増えていきました。
製品とサービスの両面の支援が品質向上につながった
現在、弊社が使用している RCS の 90%以上が、旭有機材の RCS です。旭有機材のRCS には、砂をコーティングする樹脂の違いによって、多彩な銘柄が用意されています。臭気抑制効果はもちろん、相反する特性である鋳型の強度と融着点の両立や低膨張性による寸法精度の向上、膨張による欠陥の低減など、銘柄ごとに優れた特性があります。問題が発生すると、それらの銘柄の配合比率を調整することで、迅速に解決することができました。これは旭有機材が国内で唯一、樹脂の開発から手掛けるRCS メーカーだからこそ実現できるのでしょう。より高品質の中子を目指す弊社の多様な要望に応えてくれた結果、様々なバリエーションの RCS がラインナップされています。
また、旭有機材の担当者は皆さんとても研究熱心で、頻繁に来社して弊社の社員と一緒に問題の解決に取り組んでくれることも、とても心強いと感じています。中子の製造を含めた鋳造業では、材料や製法だけでなく、気温や湿度などさまざまな要因が品質に影響します。そのため、弊社だけが研究し、技術を磨いていても、高品質の中子を作ることはできません。旭有機材でも、RCS メーカーという立場から鋳造の研究を続けていることが、弊社の中子の品質向上につながっています。こうした旭有機材の製品とサービスの両面の支援と、弊社の技術が合わさってお客様の多岐にわたるご要望に応えることができるのです。
旭有機材と二人三脚でお客様の信用を積み上げてきた
弊社は、島根工場の設立時、社員5人の小さな会社でした。現在は派遣社員まで含めると140人になっています。ここまで大きく成長できたのは、旭有機材と二人三脚でお客様の要望に応え、長い年月をかけて信用を積み上げてきたからです。同様に弊社も、旭有機材に大きな信頼を寄せています。直接の資本関係はないものの、私にとってはグループ企業のような感覚ですね。
鋳造には、まだわからないことがたくさんあります。それらを“見える化”することが、高品質の中子につながります。そのためには、世界中で事業を展開している旭有機材と、今まで以上に情報の交換や共有が重要です。国内外で起こるさまざまな鋳造の問題について、積極的に議論し、お互いに研究を続けていくことが、弊社はもちろん鋳造業の発展に貢献するはずです。今後も、より良い中子づくりに向けて力を合わせると同時に、鋳造のさまざまな問題の解決にともに取り組んでいきたいと考えています。