中部電力グループの「総合エネルギーサービス企業」として、お客様の環境経営課題の解決を実現し、企業ブランディングの向上をお手伝いする株式会社シーエナジー。同社が2015年から携わる、中部圏初のフラッシュ発電方式による地熱発電の開発をサポートしているのが、旭有機材グループで水処理・資源開発事業を担う、ドリコ株式会社。創業から70年間培ってきた技術力で同社の地熱発電開発をバックアップしています。そこで、再エネ・新規事業部の西村和哉さん、松崎正貴さんに、ドリコがどのように同社の地熱発電開発をバックアップしているかを伺いました。
圧倒的な技術力を持つドリコとの出会い
2015年、弊社は2000kWクラスの地熱発電所の開発事業に参画することになりました。その開発初期から、さく井を請け負っている企業として出会ったのがドリコです。
火力発電や水力発電と比べると地熱発電の経験が浅い弊社でしたが、まず見積説明会における同業他社を上回るドリコの技術力に感銘を受けました。そのひとつが掘削した井戸を保護するケーシングの仕様についてです。弊社が要求したケーシングの仕様に対して、ドリコの担当者は「石油井用の高強度材料を加工する技術を採用し、耐久性の向上やメンテナンス費用の削減を図る」ことを確約してくれました。
これは一例ですが、他にも技術的に業界トップの水準だと確信し、「さく井を依頼するのはドリコだ!」と思ったのを覚えています。もちろん入札でも尽力してくださったのですが、何よりも絶対的な技術力と信頼感、最新の知識を採り入れる姿勢が決め手になりました。
温泉と地熱発電が共存共栄するモデルケースに
日本で地熱発電の開発をする場合、掘削候補地の周辺には、ほぼ温泉街があります。周辺地域の方々は地熱発電と聞くと真っ先に「地熱井を掘る影響で温泉が枯渇するのではないか」と心配されます。そのため、地熱開発の調査には周辺地域の方々の同意が必要なのですが、同意が得られず調査さえできない事例もあります。また、ご理解いただいたとしても、その後の作業に伴う騒音や作業者の対応不備といった点にはとても敏感です。だからこそ、周辺地域の方々との信頼関係の構築・維持が重要になってきます。
工事期間中、現場に常駐して作業を行うドリコの担当者は、周辺地域の方々との信頼関係の構築にも注力してくれました。ある時は、「地元の温泉井戸の調子がおかしい」と聞けばすぐに駆けつけ、問題解決に手を貸すなど、血の通った丁寧なコミュニケーションで、信頼関係の維持・向上に貢献してくれました。これは、全国各地で長年さく井を行い培ってきたドリコの社員教育の賜物だと現場に足を運ぶたびに肌身で感じていました。
今回の案件は、地熱井によって得られた熱水と蒸気を分離し、熱水は温泉として周辺の温泉街へ提供し、蒸気は発電に使用する“温泉と地熱発電の共存共栄”を実現するスキームとなっています。弊社は、これを今後の新しい地熱発電のモデルケースにしたいと考えています。
環境に優しいエネルギーの普及に向けて
現在、日本の地熱資源量は世界第3位を誇るものの、その約2%しか発電に利用されていないのが実情であり、国が2030年までにその数値を3倍にしたいという施策を打ち出していることを考慮しても、この案件は足掛かりのひとつに過ぎません。
これらの背景を踏まえ、弊社が推進している「再生可能な未利用エネルギーの積極的な活用」と、ドリコが掲げる「再生可能な資源の開発を通じて環境と人々のくらしに貢献する」という理念のもと、地熱発電の普及に向け今後も協働していきたいと考えています。
また、地熱開発以外にドリコが得意とする各種水処理技術に関するサービス等についても弊社と連携を積極的に推し進めて、お互いの根幹にある“環境に優しいエネルギー”の普及に努めたいと思っています。